妊娠中のトラブル
妊娠後期[前期破水]
陣痛がまだ起こっていない段階で卵膜が破れ、羊水が子宮外に流れ出ることを前期破水といいます。
普通、破水は分娩の途中で起こることが多いのですが、正期産(妊娠37週~41週末まで)の場合でも陣痛が始まる前に破水してしまうことが約30%の例でみられます。
従って、前期破水自体はそれほど病的なこととはいえません。ほとんどの症例では破水後、短時間のうちに自然陣痛が始まります。
原因
前期破水の要因としては、感染症のために子宮がもろくなっていたり、母体側で生まれつき卵膜が薄いために起こる場合もあります。
また、激しい運動をしたために子宮の収縮が起こって破水することもあるため、重い荷物の挙げ下ろしなどは絶対にしないこと。併せて、転倒や激しい咳き込みにも充分に気を付けることが大事です。
症状
主な症状
下腹部痛
性器出血
子宮の収縮
パンと何かが割れるような音がする
突然、腟から急激に水のような羊水が流れ出ます。典型的な症例として水の漏出が絶えず続き、外陰部や大腿部がビショビショに濡れることもあります。
但し、量も妊婦により様々で尿漏れ程度の人もいますが、ちょっと動いただけで少しでも流れ出てくるようであれば、破水と思ってよいでしょう。羊水と共に、へその緒が出てくる(臍帯脱出)症状になることもあるので、素人判断をせず、すぐに主治医に相談し病院へ向かいましょう。
治療・対処法
臨月であれば、たいていはそのまま出産という運びになりますが、臨月前なら膣内を洗って感染を防ぎます。それから子宮の収縮を抑える薬と抗生物質を投与して、できるかぎり分娩の時期を遅らせます。子宮内感染の疑いが出てきたときは、人為的に早く出産させることもあります。赤ちゃんを包んでいる卵膜がやぶれているため、細菌感染の心配があります。お風呂には絶対に入らないでください。
病院から受診の指示があったら、吸収力の強いナプキンやタオルを当てて、少しの距離でも車で移動しましょう。車の中ではなるべく羊水が漏れないように後部座席に横になり、腰にバスタオルを巻いておくのも良いでしょう。