病気と事故 11~12ヶ月
つかまり立ちをするようになると、
気をつけてはいても思わぬ転倒・転落事故が起こってしまうことも。
すぐに泣いて元気な時は、1〜2時間はお家で様子を見てください。
乳幼児は頭デッカチで、新生児では4等身しかありません。そのため重心が上の方にあり、バランスも悪いので転びやすく、転ぶと頭を打ちやすいわけです。乳幼児の頭蓋骨は柔らかく、骨と骨の間もしっかり固定されていません。このため、頭蓋内の多少の出血は骨と骨の隙間が開くことで緩衝し、症状がでにくいことがあります。
また、成人で頭部に強い衝撃を受けると、頭蓋骨がパチンと割れて頭蓋骨骨折となりますが、乳幼児では頭部に受けた衝撃で骨が凹み、そのために脳自体に直接の損傷を受けることがあります。
但し、発達途上にある脳は柔らかいため、その衝撃を緩衝しやすく、症状が全くない場合もあります。しかしながら、頭部は脳に直結しているので、頭を打った後は脳に色々な変化が起こる可能性も少なくありません。
乳幼児の未熟な脳は、一旦損傷が起こるともとには戻りにくいのですが、逆に未熟であるために他の健康な部分の脳が代わりに働いて驚くほどの回復力を見せることがあります。
このような緩衝作用のため、乳幼児の場合はびっくりするほど高いところから落ちても症状が全くない場合もありますが、逆に未熟であるために畳で転んでも非常に重篤な症状を起こすことがあるわけです。
乳幼児の頭部外傷は一旦重篤な症状がでると、治療に大変時間がかかりますし、必ずしも良い結果は得られません。
ですが、現在はCTやMRIで脳の中を観察することができますから、注意すべき点をしっかり把握・確認すれば、無用の心配はいりません。 まずは親が落ち着いて、下記の項目に従って子どもをよく観察することが肝心です。 もしも頭を打ったら、
●どのような状況で頭を打ったか
●打った時にすぐに泣いたか
●暫くボーッとして意識がない時期があったか
※頭を打った直後に一過性でも意識がなかったり、記憶がハッキリしていない様子が確認される場合
ということを確認してください。
すぐに泣いた場合は、少なくとも生命を脅かすような重大な脳障害は起こらなかったと言え、少し安心です。赤ちゃんが元気で、上記にあてはまらず、普段と違う様子が見られなければ、しばらく家で様子を見ても大丈夫でしょう。
逆に、
●頭を打ってしばらくしてから吐き気や嘔吐が起こる、何かを飲ませてもすぐに吐き出す
※乳幼児の場合は泣いた時にむせこんで吐く場合がありますが、外傷後6時間以内で何も食べていない のに嘔吐が起こった時は要注意です。
●元気がなく、ぼんやりして顔色が悪い
●うとうとしてすぐに眠ってしまう。または、起こしてもなかなか起きない
●視力(物を見る力)が弱っている、物が二重に見えている
●熱がないのに突然けいれん(ひきつけ)が起こる
●頭を打ってから数週間~数ヶ月経って手足が動きにくくなった、よく転ぶようになった、行動や動作がぎこちない、間違いが多くなる
●大泉門(頭のてっぺんの骨がない部分)が膨らんで、押すと固く感じる
といった症状に当てはまることがあれば、すぐに脳神経外科のある病院を受診するようにしましょう。