妊娠中のトラブル
妊娠後期[羊水のトラブル]
羊水は赤ちゃんのまわりを被う淡黄色の液体です。妊娠初期は30mlほどの微量ですが、最大で700~800mlまで増え、出産時には少し減少します。赤ちゃんは10ヶ月間、自由に羊水の中を泳ぎ回ることで、体の機能を発達させます。
羊水の一番の役割は、外の衝撃から赤ちゃんを守ること。分娩の時も、子宮収縮が直接赤ちゃんへのショックとして伝わらないようになっています。
また、破水の際に産道を掃除し、後から出てくる赤ちゃんを通りやすくする役割も。胎盤が子宮の壁にくっついているのも、羊水が圧力をかけているためです。
さらに、おなかの中の赤ちゃんは、羊水の状態で健康状態や異常を確認することができます。赤ちゃんは、羊水を飲み込んで、必要な栄養分を取り込んでいます。その後、老廃物を腎臓でろ過し、再び羊水に排出しています。羊水の量と状態を調べることで、赤ちゃんがその作業をきちんとできているかが分かるので、羊水は赤ちゃんの健康のバロメーターなのです。
健診で定期的に超音波検査を受けていれば、羊水の異常は早めに発見できるでしょう。
羊水の状態で分かること
超音波検査で羊水過多、もしくは過少とみられたら、羊水の量を調べる検査をします。
1. 羊水過多(800ml以上)
羊水の量が通常より多い状態。赤ちゃんが羊水を飲み込めない、消化管が閉じている、肺に異常がある場合が考えられます。また、ママに糖尿病や内臓疾患などがある場合も羊水過多になる可能性があります。いずれにせよ、早産をまねく恐れがあるので注意が必要です。
羊水過多の場合、胎動があまり感じられない、お腹が異常に大きくなるといった症状が見られることがあります。
2. 羊水過小(100ml以下)
羊水の量が通常より少ない状態。赤ちゃんの腎臓の働きが鈍く、羊水をうまく排出できない、胎盤が羊水を作れない、破水しているなどが考えられます。
羊水過小の場合、羊水のクッションとしての役割が果たせなくなってしまいます。安静が必要です。
3. 羊水混濁
赤ちゃんが胎便をしてしまい、羊水が濁った状態。赤ちゃんは低酸素の状態で胎便をするので、すぐに原因を追究する必要があります。
治療・対処法
ママがいくら頑張っても、羊水の量は調節できません。気をもんでも仕方のないこと。決められた検診をきちんと受けていれば、トラブルは早期発見できるので、安心してください。