子どもの健康
目[結膜炎]
起こりやすい時期 : 2才~5才
昔から患者数が多い眼科の病気の代表が結膜炎です。それだけに「ありふれた軽い病気」と思われることが多いようですが、感染して流行することもある病気です。
結膜は、くろめ(角膜)のふちからまぶたの裏側までをおおっている粘膜で、その粘膜が炎症を起こし、充血・目やに・涙・かゆみ・腫れなどが起きることを結膜炎とよんでいます。
ひと口に結膜炎といっても種類がいろいろあり、大別すると、アレルギー性のものと感染性のものとがあります。その種類により、対処法もさまざまです。主なものとしては、流行性角結膜炎(はやり目)、咽頭結膜熱(プール熱)、急性出血性結膜炎、細菌性結膜炎、アレルギー性結膜炎などがあります。
原因
ウイルスや細菌による感染とアレルギーが主ですが、外傷や化学薬品によるものなどもあります。この中で注意が必要なのは感染症によるもので、家庭・学校・プール・職場・病院などでの集団感染が起きる社会的影響の大きい結膜炎があり、適切な対処が必要となります。
ウイルスや細菌は、黄色ぶどう球菌や表皮ぶどう球菌、アデノウイルスやヘルペスなど。アレルギーの場合は、花粉が主な原因ですが、ハウスダストやペットの毛なども原因の1つです。
症状
主な症状
充血
目やに
涙
目の腫れ
異物感
かゆみ
こめかみ近くのリンパ腺の腫れ
充血・目やに・涙・かゆみ・腫れなどが起こる病気ですが、前項の説明で述べたように、種類によって症状にも違いが出ます。
細菌やウィルスの場合は接触感染で、異物感や目やに(細菌の場合は特に黄色く粘り気のある目やにが出ます)、涙や目の腫れなどで、アレルギーの場合は、細菌やウィルスの症状に加えて、かゆみが主症状となります。また、まぶたの裏側の結膜に乳首形のポツポツなども見られます。目やにはさほどみられないのも特徴です。
症状が重くなり、注意が必要なのがウイルス性の結膜炎です。発熱などのかぜのような症状を伴うこともあります。ウイルスによって起こる流行性角結膜炎(俗にはやり目といわれています)は、潜伏期間が5~7日。朝起きたときなど、びっしりとついた目やにで目が開けられないこともあります。
症状が進むと、こめかみの下のリンパ節がはれ、角膜にカイヨウができ、偽膜といわれる白い膜が張ります。細菌感染を合併して、角膜を傷つけるなど重症化しやすい特徴があります。
治療・対処法
白目が赤くなっていたり、目やにがベッタリついているようなら、まず眼科を受診して、症状が細菌性のものか、ウイルス性のものか、アレルギー性のものかを診断してもらいましょう。
適切な治療をすれば、数日から数週間で治りますが、悪化したり後遺症が残ることもありますので、炎症が起こった場合には、必ず眼科を受診するようにしましょう。
細菌性のものなら、抗生物質の点眼薬をつけて2~3日で治ります。ウイルス性のものは、抗生物質が効かないので、炎症をしずめる薬をつけて、自然に治るのを待つことになります。
治るまでに1~2週間かかり、その間発熱がある場合は、それに対する処方をします。アレルギー性のものは、アレルギーの原因をつきとめ、それに対処する処方を行います。
ウイルスは目をこすった手や目を拭いたハンカチなどから感染することがほとんどです。この時、家庭でのケアで大切なことは、伝染力の強いウイルス性結膜炎が家族に感染しないようにすることです。
目やにはティッシュペーパーでふき取り、そのつど捨てましょう。タオルも家族との兼用を避け、患者の方のみ使用するタオルを使いましょう。熱には弱いので、汚染された器物については煮沸可能なものは煮沸消毒が望ましく、使用後のタオルなどは一度熱湯につけてから洗うと良いでしょう。
目をさわった指は丁寧に石鹸で洗うことが重要です。殺菌性の強い薬用石鹸を使うと良いでしょう。手洗いは患者さんだけでなく、家族の方もこまめに行いましょう。
入浴は構いませんが、最後に入るようにして、入浴後は浴槽をよく洗いましょう。また、プールは他人に移す可能性大のため、厳禁です。幼稚園や学校は医者の許可が出るまで休みましょう。
点眼の際に目薬の容器の先端がまつげの先につくことがあります。これにより、結膜炎でないほうの目にも感染してしまう可能性があるので、点眼は結膜炎の目だけにしてください。
なお、市販の目薬は刺激の強いものが多く、防腐剤も入っているので、幼児には使わないようにしましょう。