コミュニケーション[子育てエッセイ]
10〜11ヶ月
子どもは育てた通りに育って行きます
我が子はかわいい。できるだけのことをしてあげたい。
でももし、昔のように我が子が10人いたら、どの子とも同じように関わるということができるでしょうか?
親と子、それぞれに個性を持った人間ですし、いろいろなタイミングがあったり、子育ての情報や環境が変わったり、親の経験も変わってきます。時代的にも、子育ての状況はどんどん変わっていきます。物事のサイクルが短くなっている現代では、2~3年もすれば子育ての環境が大きく変わっていることも珍しくないでしょう。
子どもとの関わりがそのまま子どもの成長に
4人のお子さんを持つお母さんから聞いた話です。
一番目のお子さんは、初めての育児だったので、ともかく何もかも丁寧に、離乳食も一回一回、きちんと作ったそうです。二番目のお子さんは、2人目ということもあってか、抱く機会が少なく、買い物のときも駐車場の車の中に置いて行くこともあったとか。三番目のお子さんの時は、母乳で育てたいという気持ちが強く、桶谷式に通いながら少しでも長くと頑張ったそうです。
四番目のお子さんはまだ小さくてよくわからないそうですが、上の3人のお子さんは、ご自分が関わった通りに育っている、とのことなのです。一番目のお子さんは、高校生になる男の子ですが、台所の仕事が好きで自分が食べたいものならすごく上手に手伝ってくれるそうです。二番目のお子さんは寂しがりやで、いつもお母さんの側にいたがるのですが、反対に三番目のお子さんは一人でも大丈夫でとても自立しているそうです。
このように、このお母さんは4人いらしたからこそ、それぞれのお子さんに対するご自分の気持ちや接し方の違いを感じることができたようですが、接し方次第で、お子さんの性質や、人やものとの関わり方は変わっていくものなのです。
パパとご自分の接し方の違いから親としてのあり方を学んだ、と仰るママの記録をご紹介しましょう。自分の考え方とは違う関わり方も、「お子さんの力や感覚が伸ばされるにはどちらがいいか」ということを軸に素直に受け入れ、接し方の大切さと心の効用を感じていらっしゃいます。
行動半径が広がって、意思を伝えたい、要求を伝えたい時、泣いたり大声で私を呼んだりする必要がなくなり、して欲しい事、欲しい物のところに自分で行きます。抱いて欲しい時は、私のいるところまでやって来る。外に出たい時は玄関の前に座って、鼻歌を歌っている。好きなおもちゃを探しに行く。お腹が空いたり喉が渇いた時は、台所に行きながら「マンマンマン」と言う。
という具合に、言葉、行動が意思と一致してきたようです。私はつい、伝えたい意思の半分までで手を出してしまいがちなのですが、父親は「自分で行っておいで」、「自分で持っておいで」と励ましています。明らかに無理だとわかっている事も、まずは「自分で・・・」。
おかげで、何か一つできるようになる毎に、何か一つ知恵がつく毎に、運動能力も発揮して、高まっているようです。脳の働き、運動神経の関係が、Kを見ているとよくわかるような気がします。
(8ヶ月 Kくん F.Oさん)
玄関に約2メートルに渡って、石英の砂利を敷き、植木を並べている場所があります。ここは、掃除や手入れが行き届かず、ちょっと油断するとホコリが集まってしまうし、砂利を口に入れてしまっては・・・という心配から、Kには「立ち入り禁止!」と言い聞かせてあります。ところが、父親が一緒にいるはずなのに、砂利で遊ぶ音。飛んで行ってみると、その中に手も足も突っ込んで、真っ白になっていました。父親は、呑気に釣り具の手入れ。思わず「どうしてこんな事させるの!」と言ったら、「Kは今、お仕事中なんだよ」とスローテンポな返事が返ってきました。
カックンとなった私は、それこそこんな事でカリカリしていた自分がバカバカしくなり、Kにとってはすべての遊びが発見であり、大切な仕事なんだな、と思いました。危険なことや、他人に迷惑をかける事でない限り、汚れたら洗ってやればいい、簡単な事だとまたしても父親に先を越された感じです。
(10ヶ月 Kくん F.Oさん)