いよいよ出産
出産法あれこれ
[分娩促進]
ほとんどのママにとってお産というものは、特に異常がなければ何もしなくても妊娠37週から41週までの間に自然に陣痛が起こり、1日内外で元気な赤ちゃんが産まれてくるものです。しかし、10%くらいのママについては、なんらかのお手伝いをしてあげなければ元気な赤ちゃんを生むことが出来ないのです。
陣痛が来なければ、お産は始まりません。けれども、ママと赤ちゃんの準備はできているのに、よい陣痛がなかなか来ないことも多々あります。そんな時、ちょっぴりママと赤ちゃんの手助けをしてくれるのが「陣痛促進剤」と呼ばれるお薬です。
微弱陣痛から強い陣痛になかなか変わらないケースや、通常は破水後数時間で来るはずの陣痛が始まらないなどのケースでは、お産が長引けば、母子ともに危険な状態に陥ります。予定日を過ぎると胎盤の機能も低下し、赤ちゃんにうまく栄養が行き渡らず弱ってくることもあります。そこで、人工的に陣痛を誘発する必要が出てきます。その場合、お医者さんから陣痛促進剤を使うことを提案されます。薬が効いて、よい陣痛が始まれば、通常のお産の流れに戻ります。自分の体力、状態を考えて、陣痛促進剤を使うかお医者さんとよく相談して決定しましょう。
陣痛促進剤の使い方
陣痛促進剤の成分は、基本的にはママや赤ちゃんに悪影響を及ぼすものではありません。ママの体の中にあるホルモンと同じ成分で作られているため、有害なものではありません。しかし、非常に効きやすいお薬であるために、使い方や使用量を間違えると、事故につながることもあります。実際、誤った使い方で事故が起きたケースが、ニュースとして伝えられているのも事実です。最近では、ママの状態を見ながら薬の量を調節できる点滴などで投与することが多くなっています。薬の効き方には個人差がありますから、体の異常や違和感を感じたら、すぐにスタッフに告げましょう。
喘息、緑内障、心疾患、腎臓機能障害があるママは、使用にあたって充分な注意が必要になります。もしこれらの持病がある場合は事前にお医者さんに伝えることが大切です。
お産が長引けばママも赤ちゃんも疲れてしまいます。自然にお産ができることに越したことはありませんが、それが難しい場合、ちょっとの助けがあれば危険を回避できます。
また、お産の時に陣痛促進剤を使うかどうかを心配する前に、妊娠中毒症や微弱陣痛にならないよう太りすぎない、タバコを吸わないといった自己管理が大切になります。助産師さんなどと相談しながら、より安全で、納得できる方法を選びましょう。
陣痛促進剤が使われるケース
微弱陣痛が続く場合
促進剤を使う最も多いケース。なかなか強い陣痛に変わらないと、お産が長引き、ママにも赤ちゃんにも負担がかかります。点滴などで状況を見ながら、薬の量を調節しやすい点滴を使う場合がほとんどです。
破水後もなかなか陣痛が始まらない場合
破水で感染が心配な上に、放っておくと、赤ちゃんも疲れてしまいます。錠剤や点滴を状況によって使い分けます。
産道が硬くて、赤ちゃんが前へ進めない場合
軟産道強靭という状態。陣痛を促進させ、赤ちゃんを手助けします。
42週目を過ぎても陣痛が始まらない場合
正常妊娠の期間を過ぎ、42週目に入ると、胎盤の機能が落ちていきます。
何の兆候も現れない時には、人工的に陣痛を誘発します。
妊娠中毒症
子宮胎盤系の血流不足により胎盤機能が低下して、それ以上胎児が子宮内に居ることがデメリットになるような場合。
陣痛促進剤というのは、前述の5つの項目にお母さんが当てはまる場合に、自然な陣痛を起こす呼び水として、また補助として使用するお薬だと理解していただけるとよいでしょう。
決して、お薬だけで陣痛が起こり、分娩が進行するものではありません。
陣痛促進剤の種類
陣痛を起こすホルモンを抽出して作られた薬で、オキシトシンとプロスタグランディンの2種類があります。これらは、いずれも自然な分娩・出産のためにお母さんの身体の中で創られて子宮に作用し、分娩・出産を進めるために必要不可欠なホルモンなのです。ですから、陣痛促進剤と呼ばれているお薬そのものは 特に身体に危険なものではありません。
点滴として使用され、子宮の状態が出産に向けてある程度準備段階にあるときに陣痛を強めるのがオキシトシンです。プロスタグランジンには点滴のほかに内服薬もあり、子宮頸管をやわらかくする作用があります。点滴の場合は量の調節を慎重に行っていきます。
内服薬の場合は、子宮頚管の軟化が目的で、服用方法が定められています。効き目は一番マイルドですが、その分、その日に生まれないこともあります。
器具を使ってお産を進める方法
どうしても陣痛促進剤を使いたくないというママもいるでしょう。そういった場合には、器具を使って子宮口を開き、お産を進める方法が選択できます。
ラミナリア法
ラミナリアという海藻の茎を乾かした細い棒を数本、子宮口に入れて、徐々に入口を広げます。どのようなものかは、生理用タンポンの大きなものをイメージするとよいでしょう。
メトロイリンテル法
ゴムの袋を子宮に入れ、その袋に生理食塩水を注入してふくらませ、刺激を与える方法。
大体子宮口が5センチぐらい開いてくるとポロンとはずれます。