子どもの健康
耳鼻咽喉[アレルギー性鼻炎]
起こりやすい時期 : 8ヶ月~
かぜをひいてもいないのに、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなど慢性的にまたは季節の変わり目に起きる病気です。赤ちゃんや子どもの場合はアレルギー性鼻炎だけを起こす場合は少なく、気管支ぜんそくの子どもに多くみられる病気です。また、赤ちゃんにはあまりみられず、幼児以上に多くみられるようになります。
症状の出る時期が、特定の時期に限定される季節性のもの(花粉症)と、通年性(非季節性)のものがあります。
原因
イエダニやカビ、花粉(スギ、カモガヤ、ブタクサ、シラカバ)などが原因と考えられており、もともとアレルギー体質の強い子どもに起きやすいと考えられています。赤ちゃんや子どもの場合にアレルゲンとなりやすいものは、気管支ぜんそくと同様、家の中のホコリ、ダニ、イヌやネコなどのペ
ットの毛やフケなどです。
症状
主な症状
水っぽい鼻水
鼻詰まり
くしゃみ
鼻をこする
鼻血
鼻水、鼻詰まり、くしゃみなどが主な症状です。但し、大人のようにくしゃみがたくさん出ることはあまりありません。風邪と違い、熱はなく、鼻水も水っぽいのが特徴です。
また、鼻のかゆみを強く感じるため、鼻をすりあげたり、鼻の中に指を入れたりする動作を繰り返しやすくなります。結果、鼻の粘膜を常に外から刺激してしまうので鼻の中が傷つき、鼻血が出やすくなります。
小さい子どもは症状をうまく説明することができないので、アレルギー性鼻炎を見つける上で、鼻出血は大事なサインになるといえるでしょう。
治療・対処法
まず原因物質(抗原)との接触を断つことが一番の予防法になります。アレルゲンがはっきり特定できる場合は、それを避けます。症状を軽減させるためには抗ヒスタミン剤を服用したり、鼻の粘膜の血管を収縮させる点鼻剤などを使いますが、大人用の点鼻剤を赤ちゃんに使うと危険ですので、薬剤を使う場合は小児科医や耳鼻科医の指示に従ってください。
この病気は根本的に体質にかかわっているため、完治するという言い方は適当ではないかもしれません。しかし、治療や日常生活での注意(抗原との接触を絶つことなど)により症状を軽くしたり、出にくくすることはできます。日ごろから体調を整え、過労、ストレスを避け、規則正しい生活を心がけることも大切です。
治療としては、抗原をごく少量注射することから始め、次第に量を増やして、からだの免疫力を高める治療法(減感作療法)があります。抗原がハウスダストの場合は70~80%、花粉症では30~60%の有効率ですが、数年間、治療を続けることが必要になるので、根気も必要です。
このように治療が長引くことも考慮し、症状が出たら、速やかに耳鼻科にかかり、原因物質をつきとめる検査を行いましょう。検査は数種類あり、皮膚反応検査、血液検査、鼻汁細胞診、鼻粘膜誘発テストなどがあります。
子どものアレルギー性鼻炎に多い原因であるハウスダストやダニは、しっかり掃除を行うことで、防ぐことができます。例えば、寝具を日光に干す・干した後は掃除機でほこりやダニを吸い取る・室内の掃除を頻回に行う・室内の換気に注意する・ダニが発生しやすいカーペットや敷物の使用はなるべく避け、掃除には専用の洗剤を使うなど、家庭で防止する方法を取りましょう。
花粉症の場合は、晴れた日や風の強い日の外出をなるべく控えます。また、帰宅時には室外で花粉を払い落とし、うがい・洗顔・洗眼などを行います。その季節には、窓も閉めておきましょう。花粉が飛びはじめる少し前から、予防的に薬を使いはじめる方法もあります。
耳鼻科では、鼻水や鼻づまりをなくすために鼻の中を吸引し、薬を噴霧する鼻処置や薬の吸入治療(ネブライザー)を行います。飲み薬としては抗ヒスタミン薬などがあり、外用薬としては点鼻薬が使われます。最近ではさまざまな種類の薬が開発されて、症状やその程度に応じて使い分けられています。耳鼻科医とよく相談して、自分にあった治療法を見つけてもらってください。
ひとことアドバイス
~アレルギー性鼻炎と小児ぜんそくの関係~
アレルギー性鼻炎と小児ぜんそくも密接な関係にあります。合併率は50~83%ともいわれているほどで、合併率が高い原因はまだはっきりと解明されていませんが、ぜんそく発作の前に鼻炎の症状が現れるケースは非常に多いことがわかっています。
小児ぜんそくも子どものアレルギー性鼻炎も、症状のもととなる主なアレルゲンはダニやカビといったハウスダスト。アレルゲンが鼻を通過してから気管支へ入り込むため、ぜんそくの前兆のような形でアレルギー性鼻炎の症状が現れるのではないかという考え方が有力です。逆に肺にこれらの物質が入るとぜんそくになるので、鼻を閉じてそれ以上中に入れないようにする防御反応とも考えられています。