子どもの健康
アレルギー[食物アレルギー]
起こりやすい時期 : 0ヶ月~
食物アレルギーとは、原因食物を摂取した後に 免疫学的機序を介して、生体にとって不利益な症状(皮膚粘膜症状・呼吸器症状・消化器症状・アナフィラキシーなど)が起こる現象を言います。
アレルギー、不耐性、過敏症は、「食物刺激反応」という言葉に要約できます。つまり、ある特定の食物が子どもの気分や行動、あるいは特定の内臓器官の機能を刺激し不調を起こす、ということです。
食物アレルギーは指紋と違って変化します。ほとんどは子どもの成長とともに弱くなっていきます。悪化するものもないわけではありませんが、ほとんどは完全に消えてしまいます。アレルギーの対象が変化する子もいます。特定の食べ物を食べるたびにアレルギーになる子もいれば、摂取量や頻度に関連して周期的に起こす子もいます。
原因
アレルギーを起こす原因食物は卵、牛乳、大豆に加えて、米、小麦が代表的なものです。最近の厚生省の報告によれば、原因アレルゲンは卵・牛乳・小麦・そば・えび・ピーナッツ・大豆・チ-ズの順に増えていることが報告されています。
症状
主な症状
皮膚湿疹
下痢
吐き気
嘔吐
腹痛
ゼイゼイと喘息のように呼吸が荒くなる
全身性のショック症状
原因となる食物中に含まれるたんぱく質などが腸から吸収され、血液中を流れていって体中でアレルギー反応をひきおこします。その主な場所は皮膚(アトピー性皮膚炎、じんましんなど)、呼吸器の粘膜(喉頭浮腫、気管支喘息など)、鼻や目の粘膜(アレルギー性鼻炎・結膜炎)などです。
症状の中でもっとも激しい反応がアナフィラキシーです。ショック症状をおこして血圧低下や呼吸困難をおこし、ときには死に至ることもあります。絶対に避けなくてはならない事態です。
治療・対処法
疑わしい食物を2~3週間程度除去して症状がよくなることを確認し、その後もう一度食べてみると再び症状がでる場合に限り、食物アレルギーと判断し治療としての除去を開始します。
いつ・どんなものを・どれくらい等の毎日の食事記録を付けておくと治療の際にとても役立ちます。どんな調理法を行ったか、食べてから症状が出るまでの時間や経過の状態なども記載しておくことも、併せて行うと更によいでしょう。記録をつけることでどの食物でアレルギーを起こすのか判断する材料にもなります。
乳幼児は消化機能が未熟なため、大きい分子のたんぱく質のまま吸収されて、アレルギーを起こすと考えられています。従って、食物アレルギーの対応は、たんぱく質が原因の場合が多く、たんぱく質の除去に重点をおきますが、特定のたんぱく質を含む食物を除去することは、身体発達は元よりも、精神発達にも影響を及ぼすことが最近の研究で明らかになっています。かかりつけの医師とよく相談し、医学的・栄養学的管理のもとに、代替食品を用いて栄養素が不足しないように心がけることが重要です。
食物アレルギーが心配な赤ちゃんの離乳食については、乳児の消化能力が抵抗できるように成長してから、できれば生後8ヶ月以降に与え始めます。具体的な食材には個人差があるので、かかりつけの小児科専門医に診察、指導を充分に受けてからはじめましょう。
食物アレルギーによるアトピー性皮膚炎の患児もいますが、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは別の疾患として考えたほうがよいでしょう。現在は5人に1人の乳幼児はなんらかの食物アレルギーを持っていると言われており、成長の過程で生じるひとつの症状と考えてもらった方がわかりやすいと思います。母親があまり神経質になって赤ちゃんにいらぬストレスをかけないようにすることも重要です。