コミュニケーション[子育てエッセイ]
8〜9ヶ月
してほしくないこと
行動範囲の広がりとともに、やって欲しくないことをすることも増えてきたことでしょう。叱ればギャーッと泣く、いくら言って聞かせてもまた繰り返す・・・いったいどうすればいいのでしょうか?
「やってはいけないこと」と「やってほしくないこと」
今の時期の子どもには、叱ることはあまり役には立ちません。叱られて、自分の気持ちが通らないもどかしさを主張することに精一杯で、他のことなど耳に入りません。自分のもどかしさや本当の気持ちを分かって欲しくて、何でもない時にも強く主張するようになってしまいます。
そのやってほしくないことが、本当にやってはいけないことか、親の都合でやってほしくないことか、分けて考えてみましょう。
親の都合なら、やらせてあげられる方法を考えてみましょう。昨日はOKだったけど、今日は忙しいからダメというようなことがあれば、まずいつものようにやりたいと思っている子どもの気持ちに「やりたいね」と共感して、でも今日はママの都合でできないことをちゃんと話して、次の時はやらせてあげる約束をしましょう。ポイントは、まず共感することです。そして、約束は必ず守ってくださいね。
本当にやってほしくないことなら、まずは共感。そして、これは止めてねとやさしく言って、やって欲しくない理由を伝えましょう。「ダメ」とだけ言っていても、子どもにはやってはいけない理由が伝わらないのです。でも、すぐにわかることは期待しないでくださいね。
それがもし本当に危険なことや、相手に怪我をさせかねないことなら、身をていして、すぐに止めなければいけません。その真剣さは、きっとお子さんにも伝わるでしょう。
やってほしくないことがすぐに伝わらないのは、その真剣さがないからです。でも、当たり前ですよね。例えば包丁に手を伸ばした時、「それに触らないで!」と言う時には本当に真剣でも、これは大事だから触らないでというような時には、包丁の時の真剣さとは全く違いますよね。
「止めてね」の積み重ねで覚えていくこと
ママの「これは止めてね」という言葉は、子どもの中に徐々に積み重ねられていくものです。ママがニッコリ笑って見守ってくれること、慌てて止めに来ること、その違いを次第に感じ取っていきます。
これは、考えたらすごいことかもしれません。「やってはいけないこと」を一つ一つ覚えていくのではなくて、「絶対にしてはいけないこと」から「できればやらない方がいいこと」まで、ママがどのくらい真剣に止めているかという経験を繰り返すことで、どういうことが本当にいけないことなのか、体験したことがないことまで判断できるようになっていくのです。
始めは何も伝わっていないように思えていても、だんだんに「止めてね」というようなことをする前にはママの方を何度も振り返って「やるよ、やるよ。どう?」と確かめるようになります。
そしていつか大人になった時にやさしい、思いやりのある人に育つのです。子育ての目標は、今すぐ何かが変わることではなく、子どもの将来を築くことです。気長に見守っていくことが必要なのですね。