子どもの健康
感染症[麻疹]
起こりやすい時期 : 1才~
麻疹ウイルスの感染によって人から人にうつり、39度以上の高熱が1週間以上続き、紅い発疹が出現、時には合併症で死亡することもあり、小児では重要な急性感染性です。感染性が著しく高く、また、感染するとほとんどの例が発病すると言われています。特に、冬~春に流行し、乳幼児の発病が目立ちますが、一般に出生後早期(4~6ヶ月まで)は、母胎からの免疫があるため、発病しません。
空気中に浮遊している状態の、感染者、あるいは、発病者のくしゃみや咳に含まれる「麻疹ウイルス」を、麻疹ウイルスに対して感受性のある人が吸い込むこと(飛沫核感染)、もしくは、直接くしゃみや咳のしぶきを吸い込んで感染します(飛沫感染)。
現在は、麻疹ワクチンの接種のおかげで、急激に減少した病気ですが、隔年から数年に一回、流行を繰り返しており、最近は中学生以上の年長児や青年、さらには成人の罹患が増えていると言われています。
原因
麻疹(はしか)は麻疹ウイルスに感染して起こり、麻疹ウイルスはせきやくしゃみでウイルスが飛散し感染します。潜伏期は10~12日で最も感染しやすい期間は発熱する3日前から発疹が出た後の5日後までで、感染力もかなり強く、保育園、幼稚園や地域などで流行すると、予防接種をしていないとかかる可能性が高いと考えられます。
症状
主な症状
高熱
せき、くしゃみ
鼻水
結膜充血
目やに
口の中の頬の裏側あたりに白い粟粒上の斑点(コップリック斑)
発疹
症状は主に3つの期間に大別されます。1期をカタル期(2~4日)、2期を発疹期(3~4日)、3期を回復期(7~9日)としています。
カタル期 |
38℃前後の発熱、せき、鼻水、くしゃみ、結膜充血、目やになどが出現します。そして、一旦熱が下がったころに、口の中の頬の裏側あたりの粘膜に、白い粟粒のような特徴的な「コップリック斑」が、見られるようになります。この時期は普通の風邪と区別が付きませんが、ウイルスが大量に増えていて、他の子どもに感染しやすい時期です。麻疹の最初の症状がかぜに似ているため診断がつきにくいのですが、このコップリック斑が確認できれば、発疹が出る前に麻疹の診断がつきます。 |
発疹期 |
一旦下がった発熱が、再び高熱となり(39~40℃)、上半身にはじまり下半身に下降していく(耳後部、頚部、顔、体幹、上肢、下肢の順に広がる)特有の発疹が出現します。発疹ははじめ小さく鮮やかな紅色をしていますが、しだいに少し盛り上がった形(丘疹[きゆうしん])となります。色も徐々に暗赤色になり、いくつかは隣同士がくっついて、不規則なまだら状の発疹となります。
コップリック斑は発疹の最盛期には消失します。不機嫌、食欲不振が著明で、ぐったりしてきます。 |
回復期 |
熱が下がり発疹が消え、元気も食欲も出てきますが、せきや鼻水は数日続きます。発疹の色は出てきた順から落ちついてしみ(色素沈着)となり、数週間で消えていきます。 |
治療・対処法
麻疹ウイルスに直接有効な抗生物質はありません。合併する気管支炎や肺炎、中耳炎を予防し、治療する目的で抗生物質が使われるでしょう。鎮咳剤などの対症療法が主な治療です。特に発疹期には、解熱剤は控えめにします。
麻疹は子どもにとって非常に重い病気です。必ず診察を受けなければなりませんが、家庭での看病が中心となります。まずは静かに臥床させ絶対安静。母親はそばに付き添っているのが理想です。
発熱で汗をかいた下着はこまめに取り替えるようにし、食事も食べやすく、消化の良いものを与え、栄養価の高いものを心がけましょう。水分にも気を付けて、脱水症状を起こさないよう、たっぷり与えてあげて下さい。
麻疹ワクチンは1歳になったら3ヶ月以内に受けるように努めましょう。遅くなった場合でも保育園、幼稚園などの集団生活に入るまでには、必ず受けておきましょう。麻疹ワクチンは麻疹になってしまうよりもずっと安全です。麻疹ワクチンを受けると90%の人は免疫がつき、麻疹になりません。
但し、このワクチンは弱毒生ワクチンですから、体内でウイルスが増えるため、接種して1週間後から発熱や発疹など、接種後5~14日までに37.5℃~38.5℃未満の発熱や麻疹様の発疹が接種した子どもの10%前後に認められます。ですが、この発熱や発疹も通常は1~2日で消失します。最も多い副反応は注射した部位の軽い痛みのみですから、親の義務としても子どもにワクチンを受けさせましょう。