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いよいよ出産
出産法あれこれ
[会陰切開]

「会陰」とは、膣口と肛門の間の部分のことです。赤ちゃんが産道を通って、体の向きを変えながら、最後に出てくる膣口の下にあたる部分です。普段は硬くなっていますが、妊娠が始まると、ホルモンの影響でやわらかく伸びるようになります。けれどもママがいきみ過ぎたり、充分に出口が広がる前に赤ちゃんが出てこようとすると、赤ちゃんの頭が引っかかったり、会陰が裂けてしまいます。
「会陰切開」というのは、引っかかって圧迫されている赤ちゃんの頭を、会陰をハサミで切って口を広げて外に出してあげる方法をいいます。長い時間、頭を圧迫されていると、赤ちゃんの心音が弱まることがあります。最悪の場合は、「胎児仮死」を起こす危険性が高くなります。一刻も早く外に出す必要がある時や、逆子の分娩などの場合、基本的に会陰切開が行われます。


会陰切開を行う場合

会陰切開を行う理由

● 自然に入る亀裂よりも、きれいに傷口が縫い合わせられるので、回復が早い。

● 赤ちゃんを少しでも早く外に出すことができる。

● 伸びが悪い場合は皮膚が避けるリスクがある。

● 傷が尿道口や肛門、直腸などに達してしまった場合、あとあと体のトラブルに悩まされる。

● 会陰が伸び過ぎてもとに戻らなくなると、尿漏れなどの症状が出る。


また、1人目を生んだ時は切らなかった場合でも、2人目の時に会陰切開を行ったところ、分娩台にのぼってからスムーズにお産ができたという声もあります。


会陰切開をしない場合

会陰切開をしない理由

● 自然にできた傷の方が治りが早い。

● 自然に会陰が伸びるのを待ってから生まれた赤ちゃんと、会陰切開で早く出てきた赤ちゃんでは健康状態に変わりはない。

● 尿もれなどは、会陰切開でも起こることであり、それならば切らない方がよい。


緊急事態まではなるべく切らず、できるだけママの力でがんばる方針をとっている産院もあります。また、体にハサミを入れる方法に、反対する意見が強くあるのも事実です。


会陰切開の位置

会陰切開にはおもに3つの切り方がありますが、麻酔をするか、どんな角度にするか、何ヶ所ハサミを入れるかは、その時の状況で医師が判断します。
会陰切開をおこなう時期は、会陰が薄く膜のように伸びた時期でママがいきみ、最大限に引き伸ばされた瞬間が切開を入れるタイミングです。麻酔の有無に関しては状況や病院によっても違いますが、陣痛がピークに達していますから麻酔を使わなくてもそれほど痛みを感じることはありません。
切開は赤ちゃんを傷つけないために先が丸くなった医療用ハサミでおこなわれ、切開を入れる長さは、伸びきった会陰を2~3cm程度切開します。
赤ちゃんと胎盤が出てきたら、今度は切ったところを縫い合わせます。必要な場合は再び麻酔をしてから縫合します。会陰切開は、ハサミによって直線的に切開されていますから傷はきれいで、産後健診の時にはほとんど目立たなくなっています。
図


1. 膣口から肛門に向かってまっすぐ切開を行う正中切開
2. 膣口の真下から斜めに切開を入れる正中側切開
3. 膣口の真下からやや恥骨部よりに切開を入れる側切開


最近は、縫合に使う糸には、体の中で溶ける糸を使うことが多いので、抜糸は必要ありません。この痛みは1週間くらい続きますが、退院する頃にはおさまります。1ヶ月もすると、違和感もなくなるでしょう。もしも退院時になっても突っ張り感が強いようであれば、溶ける糸で傷を縫っている場合でも、抜糸をしてもらったほうが楽になります。退院診察のときに、主治医に申し出てみましょう。退院してからも、傷がひどくつれたり不快感がある場合は、早めにお医者さんで診察してもらったほうが安心です。

産後は「悪露※」が出て陰部が汚れるので、トイレに行くたびに清浄綿で消毒しましょう。洗浄便座がある病院ならば、多少傷があってもトイレのたびに洗浄してください。悪露のケアも、清浄綿で「ふく」のではなく、軽く「当てる」ようにして、傷をこすらないように気をつけましょう。シャワーは傷にしみることもありますが、別に害はありません。局部を洗うときは、やさしく手でぬぐうようにしましょう。痛みがあるうちは、ドーナツ椅子を使ったり、ベッドの上では正座をするなど、傷が当たらないように工夫しましょう。


どうしても会陰切開をしたくない人は…?

この会陰切開に関しては、さまざまな意見があります。最近は、緊急事態でなくても、最初から会陰切開をして、赤ちゃんを出す病院が増えており、現在の病院・産院の8割は、この方針をとっているともいわれています。
もしも「どうしても切りたくない」,「自然に生みたい」という希望があれば、緊急の場合以外は切りたくない旨を事前に医師に伝え、妊娠生活をどのように送るのかを相談する必要があるでしょう。
会陰が無傷のまま出産できるのは、初産でたった10%、経産婦でも30%程度しかいません。切開というと、どうしても及び腰になってしまいがちです。体を切らなくても、スムーズに産むことができるなら、それに越したことはありません。しかしながら、思い通りに行かないこともままあるのがお産です。赤ちゃんが出てこられず、2人で苦しまなければならない場合はどうでしょうか?苦痛はできるだけやわらげたい、という気持ちは誰もが一緒のはずです。会陰切開が行われる理由はそこにあります。
一概に体を切るといっても、そこには行う意味があります。それを踏まえた上で、切開を行うか・行わないのかをよく考えてみましょう。

本人が会陰切開を望んでいないとしたら、会陰を切らずにすむようなお産ができるように、太らない、上手ないきみ逃がしの練習をする、会陰部を引き締める運動をする、会陰部をやさしくマッサージする等、自分自身で工夫をすることや、努力を続けることがとても重要となります。そのために、どういうお産がいいかということをママと医者が事前によく話し合っておくことが必要です。なお、助産院では医療行為となるため、会陰切開は行いません。

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